Pub とは
イギリスと言えばPub。Pubといえばイギリスだ。
Public Roomが転じてPubになったそうだが、おそらくイギリス国民の最も愛する場所であろう。コロナの規制が始まったときも、首相会見で「Pub, Bar, Restaurant, Cafe will be closed....」という具合に、人々の集う場所としてレストランやカフェとは違うものとして例示されていたほどだ。真っ先にコロナの規制が解除になった途端、朝一番にPubの開店と同時に飛び込む人が報道されていたのが懐かしい。
ご近所の友人と合流してほくほく顔で吸い込まれていく場所。朝から新聞を読みに行く場所。football (注意 soccerではない) を見る場所。子供とサンデーロースト(日曜日はローストチキン、ポーク、ビーフ・・・等ロースト料理を食べる風習)を食べる場所。常連同士で談笑する場所。City周辺で平日16時ぐらいから金融業界の人間が歩道にバックを置いて、お店の通りの脇で立って飲む場所。
日本の文化でぴたりと当てはまるものがないのだが、強いていえば、地元の居酒屋だろうか。ただ、居酒屋というと夜の世界だが、Pubはもう少し「みんなのおうち」感覚だ。お花で入口を飾り、ふかふかのソファーや暖炉で温まりながら、美味しいロースト料理やパイを食べるとほっこりする。
こちらに来て間もない頃は、周りが中毒的にpub pub言うことに「なんでそこまで好きなの??」と思っていたが、同僚と「今日Pub行くひとー?」「次の会議はNational drinking instituteに場所を移してやろう」なんて言うようになって、自分も少し染まったかなとニヤリとしている。
今日はJazzの生演奏を聴けるpubに行ってきた。雨上がりの眩しい午後、サンデーローストと共に。
常連のお年寄りのグループが最前列で盛り上がっていて、その温かい雰囲気が心地よい。お客さん同士は知り合いが多いようで、よー!と話し掛け合っていた。私も「君は確かドラムやってるよね?」とすれ違いざまに言われた。ん?人違いかな…?
旅先でも必ず行くのがPub。ローカルのビールとその土地の料理の組み合わせは最高だ。
パブ開拓の道は止まらない。
David Bowie fascinating me
Strange fascination, fascinating me
二十歳のときだった、イギリス人作家のGeorge Orwellの「1984」に感銘を受け、今までの自分の考え方の根本を改めたのは。ほぼ同時期にDavid Bowieの音楽にも興味を抱くようになった。「もっと自由に、もっと大胆に」というMottoを生み出し、確固たる「個」を作る意思をくれた彼の作品は、今でも私にとって大切な存在だ。
David Bowieの生誕75周年を迎える今年、London Heddon Streetに期間限定のPop up shopが出来た!Heddon StreetはアルバムZiggy Stardustの表紙を飾った場所である。10月25日オープンなので、早速行ってみた。
店内では音楽とムービーが流れ、記念Tシャツから、レコード、パズル、バッグ、等が販売されている。地下の部屋には360度スピーカーが設置されていて、ライブの臨場感が再現されている。
「DJ」のプロモを模したブースもあり、なにきり写真も撮って貰えた。
2022年カレンダーと額入りアルバムジャケット写真をお土産に。
イギリスの空気に触れながら、秋の夜長に、David Bowieの曲を聴き直してみようと思う。
Yorkshire Dales 探検
イギリスにはNational Parkや AONB (Areas of Outstanding Natural Beauty、特別自然美観地域)などなど、自然保護地域が多々ある。
例えば、ロンドンから南に1時間ほどの所にあるAONBのSurrey Hillsは、天国に通じているのかと思うぐらい、牛の鳴き声や蜂の羽の音ぐらいしか聞こえない静かな花畑が広がる素敵な場所だ。
この夏は、少し足を延ばして中部のYorkshire DalesのNational Parkへ訪れてみた。石灰岩Limestone が織りなす景色が特徴的。このDalesという言葉。Valleyと共に「谷」を指すが、Dalesはもう少しValleyに比べ落差が無い・・・らしい。確かにイングランドの風景は「まったいら」なので、渓谷のようなイメージは湧かない。
さて、石灰岩と言えばやはり鍾乳洞である。なんとこの自然公園の中で鍾乳洞の洞窟見学が出来るのだ。中に入るとポタポタと水の滴る音とひんやりした冷気に包まれる。奥へ進むと、暗闇からぬっと紳士が現れた。うわああと叫びそうになったが、係の方で「昔はこの冷たい水の中にダイバーが入って探検した、云々」と丁寧に鍾乳洞について説明してくれた。洞窟の中で二手に分かれる道があるが、途中で道が封鎖されている。彼曰く、「あっちの道は未開拓なんだ。昔の人はダイナマイトで破壊して探索したりしたが、我々Cavemanとしてはその方法は賛同しかねる」とのこと。Caveman…という呼称があるのか。
雨まじりの中、羊やヤギに囲まれてざくざく岩場や草原を歩く。"Middle of nowhere" (人里離れたど田舎。よくNativeが使う)を文字通り味わうことが出来た場所だった。
Royal Opera Houseでバレエを。Royal Albert Hallでクラシックを。
先週末はCovent GardenにあるRoyal Opera Houseでロミオとジュリエットのバレエを見てきた。去年は例の"C"の影響でオンラインストリームだったので、本格的な公演の再開は喜ばしいニュースだ。
ジュリエットを演じるのはロイヤルバレエ団所属の最高位のプリンシパルとして活躍している金子扶生さん。バレエ素人の私でさえも、華やかさと軽快さが舞台からよく伝わってきた。所作の美しいこと。背もたれにどっしり寄りかかって座っていた私の背筋も心なしかすっと伸びた。
さて、Royal Opera Houseはこじんまりとした円形のホールで、Box seatsが充実した場所だ。別の王立系の建物で言えば、Royal Albert Hallも似ている。今年は夏の音楽祭Promsで行って来た。
曲目はマーラー交響曲第五番。第四楽章アダージェットが大好きだ。激しめの第一、第二、第三楽章が終わって、アダージェットの静かなイントロが響く。観客が息を吸うのが聞こえる。隣の紳士の肩が強張るのがわかる。私はマスクで隠した顔がボロボロになる。「生」の大切さと、そしてこの日にベストを尽くすべく練習を重ねてきたであろうオーケストラの方々の思いを想像して、ただただ胸が熱くなった。
ロンドンでは、バレエやクラシック、オペラが人々の生活の中に溶け込んでいて、文化の一部となっている。仕事終わりにぷらっと見に行けるような気軽さも好きだ。さぁ次は何を鑑賞しょうか。
Epping Forest 秋探し
天気予報は曇り。いやきっと晴れるだろうと見込み、紅葉見たさにロンドンの東側の郊外、Epping Forestに行ってきた。かつてHenry VIIIやElizabeth Iが狩りを楽しんだという広大な森だ。折り畳み自転車Bromptonが旅のお供。
Hyde Park最寄駅からCentral LineでEpping行きの地下鉄をホームで待つと、「ハイドパーク以外でも秋の色は見つけられます」というジャックダニエルの広告が目に入ってきた。まさに紅葉探しに出掛ける私のためのメッセージだが、ウィスキーはお預けとする。
目的地についてからは、自転車が大活躍だ。森の中をぐんぐん進んでいく。落ち葉と色とりどりの葉っぱ、そして青色の高い空をぼーっと眺めて、体内に溜まっていたものを、外の気持ち良い空気と交換する。
途中、牧草地を走ることとなったが、最近の雨のせいで、道がぐちゃぐちゃ。ブレーキに泥がついたのか自転車が変な音を出している。うわぁごめん、と思いながら押して歩いていたところで散歩中の老夫婦に遭遇。「Brompton持ってきちゃったのかい」とおじい様が。おばあ様が「お風呂にいれてあげないとね」なんて談笑しながら、横切った。
ロンドンに戻ってきてからは帰りに近所の肉屋さんに寄ってきた。店員さんとEpping Forestに行って来たよ、という話をしたら、「きのこは見たかい?」と。自転車で通れる道は森深くなく生憎あまり見かけなかったが、なんと1,600種類以上のきのこが生えているそうだ。勝手に採るのは禁止されている。ちなみにきのこ狩りの「狩り」を英語ではForagingという。
少し電車に乗れば自然に触れることが出来たり、フレンドリーなイギリス人と会話したりは、ロンドン生活の良さそのものだ。ジャックダニエルの広告下部のMake it count (今を大切に)、という暗示の通りだ。
Nativeから教わる英語 記憶に残ったシリーズ
Nativeと仕事していると、容赦なく知らない英語の表現をシャワー、もとい、滝のような勢いで浴びる。
イギリス英語に限らず、なんじゃこりゃ、と思ったものをいくつか挙げよう。
1. Chin wag
雑談のこと。Chin(あご)がWag(揺れ動く)からだそうだ。同僚から来た会議招集の件名が「Chin wag」と書かれていた。いや、ちゃんと打ち合わせはした、ぞ。
2. bloke/chap
両方とも「奴」(男性が多いようだ)のこと。もうあの人怒っちゃってーというときに「He was an angry bloke」。chapの方がblokeより上品な表現らしいが、正直言って差はよくわからなかった。
3. Timbuktu
ティンバックトゥ。ものすごく離れた未知の土地のこと。実際にある地名だそうだが、もうよくわからんところに行ってしまうときのことを指す。結構、頻出単語。
4. Nitty-gritty
核心のこと。「えーっとそれはNitty-grittyでして、云々」というシーンに遭遇した。「いい質問ですね」みたいなものか。
(こういう似た音が並ぶフレーズ、よく見る。話は横道にそれるが、米国NJ州知事だったChris Christieなんて、羽切れ良すぎる。音の響き大事。)
5. Nail down
爪のことかと思いきや、釘のことだった。釘でがーんと押さえること=決定させること。交渉でこの条件取れた!というときに同僚に「You nailed down!」と言われた。なんだか仕留めた感じがいい。
他にも色々あるが、脳内ダムにストックしておいて、また放流しよう。
同僚から貰った今朝のどこかの写真。最近雨が多くて川が溢れているそう。私の脳内の英語riverのようだ。
Stoke on Trent 陶磁器で栄えた街
ロンドンから電車で1時間半ほど北上した所にあるStoke on Trentは300年以上の陶磁器の歴史がある街。先週末はこちらに日帰り旅行をしてきた。
海にも面していない中部のこの街がなぜ陶磁器で有名に?というのは粘土、塩、鉛、石炭が豊富に採れるからだそうだ。海外への輸出で栄えていたものの、地産地消が進み、19世紀後半から需要が減り、第二次世界大戦以降更に衰退が加速したそう。
そのせいか、イギリス人にStoke on Trentに行ってきたという話をすると、ん?なぜ?という反応であるし、実際街を歩くと古いレンガ造りの陶磁器工場の廃墟が散見され、少しい寂しい街ではあった。やはり訪れてみないとガイドブックからだけではわからないものもあるなぁとつくづく感じた。
そして、これは私の観察だが、イギリスの南部はLimestoneの所謂はちみつ色の石造りの家、海沿いは風が強いから石を並べた塀や屋根の家、中部はレンガ造りの家が多い印象だ。Manchesterもそうだが、中部より北は、街並みに重厚感を感じるのは、レンガ造りの建物が多いからだと推測する。
さて、お目当ての食器は?老舗で王道のWedgwoodは勿論だが、小花柄がいかにもイギリスらしいBurleighや、草木をカラフルに描くEmma Brigewaterは、当初想定していた以上に「これはいい・・・!」とストライクを打ってきた。 3店舗巡りリュックに盛沢山入れて帰宅。
早速撮影会。
たかが食器ではあるが、生活に潤いを与えてくれるものだと実感。イギリス陶磁器の歴史に敬意を払いながら、大事に使おうと思う。