Chelsea Physic Garden
チェルシー薬草園というのは、Chelseaの閑静な住宅街の中にテムズ川沿いの道沿いに、ぽつっとある小さな植物園。
(入り口の反対側には立派な藤が!)
1673年に出来、薬草の研究用に温室栽培を行ったのが始まり。王立植物園Key Gardensもそうだが、世界中から採取されてきた珍しい植物が見事に育っている。さすが、World Explorerの大英帝国。
ここの最寄り駅である高級ブティック街Sloane Squareは、Sir Hans Sloaneの名を冠にした街であるが、その方がこの薬草園を支えたそうだ。彼は資産家でもあり、ジャマイカに行っていた。そこででマラリアに効くキニーネを調達したり、現地の女性が整腸剤の目的でココアと牛乳を混ぜたものを飲んでいたことからレシピを得て、英国で有名な菓子メーカーであるCadburyに売るなどして、富を得たようだ。
さて、直近行ったのは2020年の秋で紅葉を見に行ってきり。3 cmほどしかない小さなネズミが芽をかじっていた様子が可愛かった。
今回はそれ以来。春の花が咲き始めた美しい季節だ。English Blue Bells、りんご、ハナズオウ、すずらん、アマドコロなどなど。
小さなTea Roomも併設されていて、午後の紅茶を楽しむ方々も。蜂が飛び始めた春の始まり、静かな歴史ある薬草園でゆっくりおしゃべりを楽しむのは、まさに英国人の嗜みであろう。
Richmondでサイクリング
晴れた休日はどこかに飛び出したい気分だ。とは言え電車がキャンセルになっていたり、行先が閉まっていたりするので、目的地を確定させるだけでも一苦労だ。事前調査だけで疲れてしまった日には、すかっとRichmondにサイクリングしにいく。
この平たい大地と永遠に続くまぁるく固まった雲の景色はイギリスならではだ。
Richmondはロンドンの中心地から電車で40分ほどいったところで、王室の狩の場所で今でも鹿が生息している。この広大な敷地の中は、散歩したり、サイクリングしたり、人々の憩いの場所となっている。
この公園の東側はWimbledonに繋がっていて、鬱蒼とした森があって、ここもまた自転車で通り抜けられて気持ちが良い。
テムズ川も近くに流れているので、川沿いの小道を進んでいくのも良し。
ついこの間もテムズ川沿いの新たに素敵なサイクリングロードを発見したので、後日報告したい。
ロンドン中心部からすぐ近くにこんな心地の良い自然と接せられる場所があるのがイギリスの良さだ。
Liverpool + Chester 弾丸日帰り旅行
イギリス中部に位置するLiverpool。ビートルズや貿易の歴史で知られる港街。それと、そこから南に鈍行列車で1時間ほどにあるローマ時代からの城塞都市Chester。
少しだけ早起きして列車に乗って、一気に二つの街をロンドンから日帰りで巡ってしまおう、というとんでもない考えが浮かんでしまったから仕方ない。とりあえず電車に飛び乗る。あとは車内で調べればいいのだ(といっても電波が安定しないから不安はある)
まずLiverpool。アフリカとヨーロッパの三角貿易の拠点として栄えたのが18世紀。つくづく英国は「Great Britain」なのだなと思う。とはいえ、奴隷貿易の悪名高い歴史もあるし、第二次世界大戦後は没落するなど、盛者必衰の理を表す街でもある。
埠頭の方には、The Three Gracesと言われる古い商業ビルや、赤レンガ倉庫が並び、Seagullが切なく鳴く。横浜や上海の外灘を彷彿させる景色だ。海洋博物館をのぞいてみたが、奴隷の歴史やタイタニック号の展示がされていた。奴隷の歴史は、英国ではなく他の欧州諸国や米国での歴史の情報が心なしか多かったような・・・?タイタニック号については、生存者の肉声、当時の新聞記事、等、生々しい情報ばかり。歴史に残るショッキングな事故だ。
それと、ビートルズがデビューライブを行ったというCavern Clubというパブにも行ってみた。こちらは平日昼間でもライブをやっている。狭いライブハウスに、パブが併設されていて、室温ビールを片手にビートルズの名曲を聴くことが出来る。Let it be では観客も合唱。ふらっと入って、生演奏を楽しめる気軽さが心地よい。
そんなこんなで夕方になったところで、Chesterに移動。仕事終わりの人が乗り込む3両編成の小さな列車でカタカタと南下。サマータイム様のおかげで、夕方から街歩き出来る!
Chesterはローマ時代に築かれた城壁に囲まれており、Dee川の水運を利用した都市として栄えた。城壁を歩いていると遠くの丘がもやにかかりながらも見渡せる。
四角い街の敷地の中央にThe Crossという交差点がある。更に東西南北に城門があるとても分かりやすい構成だ。特筆すべきは、East Gateの時計塔。Victoria女王のDiamond Jubileeで設置されたそうだ。
また、不思議なことに、The Rowsと言われる木造の店舗同士がつながっている商店街。雨でも歩きやすいようにしたそうだが、台湾でも似たような景色があったような。
季節に恵まれ、Chester大聖堂の前には桜が満開。
小さな街だけれど、至るところに歴史の爪痕が残る、英国らしい街だった。
帰りは車窓から夕焼けに染まる田園風景を見ながら。ダイナミックな雲と平らな大地。イギリスの好きな景色だ。
Chatham Shipyard
チャタムはヘンリー八世以来、1984年まで英国最大の造船所として活躍した街。ロンドンVictoria駅から電車で50分程で行けるので、この週末に行ってきた。ケント州は緑が多く、海・川に恵まれ、車窓からの景色が綺麗で好きだ。
DockyardはMedway川沿いに広がっている。
現在はドックがいくつかと工場跡地が残っているが、かつての敷地はRiver viewが楽しめる住宅地として開発されているようだ。とは言え、ところどころ、錨やマストの柱などが残されている。イギリスの南東部なだけあって、過去の戦いの爪痕が残っている。Medway川対岸にはUpnor Castleは要塞として使われたお城。見た目はWalesの城塞Conwy城を彷彿させる堅牢さだ。
船を進水させるときに高いところから海・川に滑り落す方法をSlipwayというのだが、今でもそのSlipさせる場所が残っている。1階部分は船関連の展示物がごちゃっと置かれている印象だが、Mezzanine という中二階にも上れて、美しい天井の柱を仰ぐことが出来る。イギリスの歴史と海運は常に一緒にあるので、ここで多くのドラマが生まれたのであろう、と想像せざるを得ない。
帰りは川沿いを散策。波のちゃぷちゃぷ言う音と、春らしい蜂の音、小鳥の鳴き声。平らの地形の上に、ぽこぽこと浮かぶ雲。河口付近に広がるマリーナ。激動の時代を歩んだこの街には、今、平和が広がっているようだ。
本場のサッカー観戦
イギリスといえばフーリガン、もといFootballが有名だ。週末、手ぶらの10代-40代の男性の集団がサッカースタジアムのある駅に着く前から、盛り上がっている様子は何度も見てきたが、遂にサッカー観戦の機会があり、より間近に見てきた!
場所はArsenal。スタジアムの9割がArsenalファンが占め、残りちょこっとだけ、Awayのチームのファンがいる。いや、もうすごい。まず完全な手ぶらでないと入場出来ない。セキュリティも1-2mに一人いる。治安維持に躍起だ。
前半Awayのチームが1点を先取。ファンがフィールドとはあえて逆の方を向いてArsenalファンを煽り、Arsenalファンが激高しブーイングの嵐。ボールも少しでもカット出来たならば、歓声と拍手。近くの家族連れももはや奇声をあげ、カップルの男女も乗り出して応援しすぎてセキュリティが押さえにかかるほど。平日夜とは思えない熱気だ。途中、Arsenalコールが突如始まるが、声の厚みたるや…。
後半試合終了間近には、文字通り羽交い絞めにされて退場させられるファンもちらほら。フィールドと観客席との間に人間の盾でセキュリティが数えきれないほど立っていた。
ファウル等で試合中断されることが少なくて、45分x2セット目が離せない状況だった。結局Arsenalが逆転で勝利したが、ボールの行方よりもファンの観察をしている方が興味深かったかもしれない。イギリス人の底力を目の当たりにした。
自分だけのPerfume作り
香りについて学びながら、自分のオリジナルの香水を作る。
そんな素敵なイベントがあるのを見つけたので、行ってみた。ロンドンのCovent GardenにあるExperimental Perfume Club (EPC)。
簡単なイントロダクションのあと、早速レクチャーが始まる。シトラス、グリーン、フローラル、スパイシー、ウッディー等、13種類のOlfactory notesの概要を学び、そのnoteの順番に25種類の香りが続々と配られる。何の香りかは言われず、生徒各々感想を口にする。石油くさいな、とか、え?何もにおわない、というものあれば、あれ?さっきと同じ?とか。いかに自分の感覚が研ぎ澄まされていないかが如実になる。
この25種類の香りは、人工のものあれば、自然由来の精油もある。ただ「良い香り」と表現せず、第一印象を出来る限り多面的に言葉で表すことが重要とのこと。ワインでも「飲みやすい」ではなく、「シトラス、ミネラルな」「さわやかなレモンイエロー」「桃や杏を彷彿させるフルボディの」と感覚を共通言語で表現することで、どんなワインかが伝えられるようになるのと同じようなものだ。
一通り25種類を感じたあとは、自分の香水のテーマづくり。エッセイにイメージを書く。私は「Early Spring」を表現したかったので、「萌黄色やほんのり紅色に染まる森。空は水色だけれど、春霞でなんだかもったりしている。新しい季節が始まる予感」と書いた。そのあと、25種類の香りの中から、使いたい香りをいくつかピックアップ。香りにも、Top (初めの印象)、Heart (数時間もつ香)、Base (深み)の個性があるので、それぞれのバランスを考えた上で、10種類ほど絞り込む。そして、そのあとそれぞれの割合を計算して何グラムずつ入れるかデザインする。この過程が面白い。講師の方に企画書を見てもらうが、一人ずつの考えを尊重してくれていて、大きく変えるようなアドバイスは言わない。
そして出来上がった・・・Coumarin(桜餅の香り)とCis-3-Hexenol(葉っぱの香り)が際立つ。色彩でいうと、ピンクと緑がポップアップするような香りだ。もう少しもったりした雰囲気にしたかったが、まぁ初めてにしては上出来と自画自賛。
他の生徒の方の香りもかがせてもらったが、「After the rain」という名のさわやかなフローラルな香りや「Happy days」という名の明るくロマンティックな香りなど、素敵なものばかりだった。私の香りは「Definitely early spring!」と言ってもらったが、どうだろうか。ロンドンでは桜が咲き始めた。今の季節にぜひともシュッとかけてお出かけしたい気分だ。
Mayfair のアートギャラリー SoShiro
銀座と銀座の掛け算のようなとてつもない高級ブティック街、Mayfair。ここのアートギャラリーのイベントを同僚に教えて貰い、仕事終わりに訪れてみた。
Shiroさんが運営するここ”SoShiro”は5階分の建物、上から下まで彼女のギャラリーだ。このSoShiroは彼女にとって価値提供のvehicle。ケニア、日本、イタリア、イギリスの芸術家たちと協業しているようだ。
ピンポンを押すと、ご本人が登場。柔らかい印象の方だ。お部屋に案内されると、ビビッドな色のテーブルが飛び込んでくる。ライトや壁紙も一つずつ彼女が選んでいるという。今回は南ア出身のLulama Wolfというアーティストの作品を飾っているタイミングだった。壁に飾られた絵を眺めているとLulamaさん本人も登場。エネルギーと表現したい気持ちが全身から溢れている素敵な方だった。
どのようにして作品を作ろうと思うのか、素材はどうするのか、色合いは、サイズは、等、こちらのランダムな質問に丁寧に答えてくれる。語る姿は自信に溢れ、目が輝いている。母国の固有の文化を尊重し、それを世の中に伝えいこうとする姿勢。芯があって美しい。
帰りは最寄りのパブで一緒に見に行った仲間と感想を語りあって解散。充実した平日過ぎて翌日があまりにも平凡に感じたぐらいだ。