Perfumer H
2022年の目標は、「健康で丁寧な暮らし」、とすることにした。
早速、年始はMarylboneにあるフレグランスショップ、Perfumer Hに行ってみた。
まず入ると、ワンちゃんがお出迎えしてくれる。ここのオーナーでありPerfumer (またの名をNoseというそうだ!)、Lyn Harrisの犬だそうだ。
どの香りが好きか自分でもわからないのだけど、と店員に話しかけると、5種の季節の香りをまず試させて貰える。Neroli, Dust, Snowdrop, Rainmoss, Charcoal。「Snowdrop」。あぁ、初春に人々に喜びをもたらす、あの白くて清楚で可憐な花。聞いただけでもその香水が好きになってしまいそうだ。Neroliはちょっと別だが、他の4つはなんだかイギリスの曇天の冬にぴったりなイメージだ。
Dustとも迷ったが、自分はCitrusの香りが好きと判明。そのあと、別の棚に移動して、同じ系列の香水だけれども、少しずつ個性が異なるものを更に試させて貰う。絞り込んだ4つを腕にかけてもらい、自分の肌とどう香りが馴染んでいくかをチェックする。こうしたステップも探求心をくすぐる。
そして選んだのは、Neroli。説明曰く、
Citrus notes of bergamot Italy, orange Florida, petitgrain water and rosemary Tunisia with a contrasting heart of chamomile Roman, lavender France and neroli Tunisia resting on a base of vetiver Haiti, oak moss and patchouli leaves, to create a vibrant but calm water designed to be worn anytime or all the time.
香りだけで世界を旅しているようだ!
店内の奥にある工房も見せてくれた。ここで香水が作られている。
購入してから約3週間、とても気に入っている。朝起きてフレッシュな気持ちになりたいとき。出かける前に。夜お風呂上りの静かな時に。周囲の人は気づかない程度の存在感だが、自分の人生の時間をこんなにも美しい気持ちにしてくれるのかと思うほど、うっとりする。
重たくなくてどこか自然で肩の力が抜けている感じが、イギリスらしくて良い。創業者も「Britishであるからには、British発の香水を作りたい」と語っているようだ。
ロンドンで味わうスペイン料理
日本にいたときからそうであったが、ロンドンに来てから更に好きになったのがスペイン料理。
元旦は大英博物館で考古学のロマンを感じたあとに、徒歩圏内のスペインレストランに行って来た。年末に予定していたバスク地方への旅行も断念したため、ここでスペインへの熱い思いをぶつけることとなった。
Barrafina
こちらは予約不可で、行列が絶えないお店。元旦の昼時だったからか、すっと入れてラッキー。カウンター席にぎゅうぎゅう詰めに座る。
どれも美味しそうだが、イベリコ豚の生ハム、オムレツからスタート。
それから、隣の人のまねでエビのニンニク炒め、パンコントマテ(トマトとニンニクのトースト)。エビのソースはバゲットにつけて余すことなく味わう。
そして、まだまだお腹がすいていたので、サバのすっぱ煮とSardineのグリル。それと、白ワイン祭りだ。このサバが食べたことのないおいしさで驚き!ガーリックが効いた力強い味に、さっぱりビネガー。目の前で焼いてくれていたサバが、お皿にのって出てくる過程も見られて面白い。
美味しすぎて、一瞬にして食べつくしてしまった。お店の人に心なしか、クスっと笑われた気がするが、Who cares!
ここのレストランは、私が今まで試したスペイン料理屋さんのなかで、No.1だ。
スペイン旅行を今年こそは実現しようと決心した。
マナーハウスで田園風景を
年明けはロンドンから電車で1時間ほど南に行ったところにあるマナーハウスGravetye Manorに一泊してきた。
マナーハウスは貴族のお屋敷をホテルに変えたもので、昔ながらのイギリスの邸宅の様子と田園風景が楽しめるのが特徴だ。このGravetye Manorは造園家のWilliam Robinsonが住んでいたことからわかるように、庭園を見渡せるのが素晴らしい。敷地内には、二つの小さな湖があり、お屋敷の周りは牧草地帯で庭園の奥に緑が広がる奥行き感も、都会の喧騒から離れたことを改めて感じさせてくれる。
入口につくと、薪の香りが飛び込んでくる。西日が眩しい。
建物とお庭の説明を受けて、お部屋に案内して貰う。
運よく天気も良かったので、イギリス名物WellyことWellington Bootsという膝下まである長靴を履いて湿気を帯びた庭園と湖周辺を散策。日本の伝統的な民家のように、Wellyを履く土間のような場所が玄関近くにある。Welly socksという分厚い沁みにくい靴下を更に履いて、準備万端。ちなみに、土間に置いてきた自分の靴は、帰ってきたら磨かれた状態で置いてあった(元より綺麗になっていた…)。
冬の寂しい庭園では、植木屋が春の準備をして掃除をしていた。集めれていた枝木の山には、空っぽになった鳥の巣も置いてあるのを見かけた。息が白くなるような寒さではあるが、芝生には早くも春が訪れていて、ところどころに水仙の芽が出ていて、一つだけ花を咲かせていた。
更に特筆すべきは、星付きレストラン。夕食の時間の少し前にラウンジに行くと、食前酒を振舞ってくれる。ホテルの名を冠したカクテルで乾杯。その後、ディナー会場へ案内して貰うのだが、この丁寧なプロセスが気持ちを盛り立ててくれる。絶品4コースミールとペアリングワインに舌鼓を打つ。一番美味しく、組み合わせに驚かされたのはホタテのチキンソース掛けだった。
霜が降りた芝生に朝日が差し込む青空の庭園を見ながらの朝食も、思い出深い。いつも日照時間の少なさに不満を抱いているが、このときだけは、朝8時に日の出を迎えるイギリスの朝も良いものだと思った。
イギリスの伝統的なお屋敷で、美食を楽しみ、心地の良いサービスを受けることが出来、大満足でチェックアウトした。
このマナーハウスを紹介してくれた同僚に感謝だ。緑と花で溢れる春夏に再度訪れたい。
英国で過ごすはじめての大晦日
Wish you wealthy and healthy 2022!
の掛け声で仕事もスタート(例のCのせいでHealthyの言葉の重みたるや)。
2022年もロンドン生活について綴っていきたい。
今年は初めて一時帰国せずにロンドンで年越ししてみた。2年間連続年越し花火イベントはお預けとなってしまったが、年末らしいイベントに行ってみた。それは・・・
*Barbican Hallでの大晦日コンサート*
ロンドン中心部にあるBarbicanは、第二次世界大戦で廃墟となった地区を再開発した場所であり、複数の文化施設がある。Barbican Hallはロンドン交響楽団やBBC交響楽団の本拠地。初めて訪れたが、奥行きのあるホール。入口のバーでスパークリングワインを受け取って、会場に入る。わくわくが止まらない。
この日はロンドン交響楽団がNew Year's Eve Galaとして以下の曲目を演奏してくれた!
イギリスのSea food
こちらに来てから、様々な種類のシーフードを食す機会に恵まれた。
まず、Monkfish!
アンコウの仲間のようなのだが、触感がむにむにしていて、旨味が溢れていて絶品。ラグーパスタも美味しいが、レモンバターソテーも良い。日本でもアンコウ鍋は有名だけれど、Monkfishはもう少し気軽に食べられる印象。
それからLangustine。
ヨーロッパアカザエビという和名があるそうだが、中ぐらいの大きさのエビに大きなはさみをつけたような形。グリルとレモン汁の組み合わせが美味しい。個人的にはロブスターより旨味があって好き。特にScotlandで頂いたものは新鮮で驚きのおいしさだった。
それとOyster。
日本だと腹下しで避けられがちだが、海流の違いかあまり当たりにくい。レストランで食すのも、土曜日のフードマーケットで頬張るもよし。タバスコやお酢をかける人もいるようだが、牡蠣本来の味を楽しみたいので私は生+レモン一択。
ロンドンから南東に電車で1時間行ったところにあるWhistableという港町はOysterが有名で、牡蠣祭りを毎年開催しているほどだ。有名店があって、私は一人で12ピースを食しにわざわざ訪れた。カウンター席でもりもり食べるのもよい。
そしてDover sole。
ヒラメの仲間で、ディナープレートがまるまる埋まるほどの大きさ。薄く衣をつけてバターで焼いてもらう。これは英国に来たらぜひ試して頂きたい。写真はDover soleとTurbot。
他にもMackerel(鯖)、Seabass(鱸に近い)、Fish & Chipsに使われるCod(鱈)やHaddock、Samphire(これはお魚ではないけれど、海岸沿いに育つ植物。おかひじきのようにコリコリしていて、塩っぽくて美味しい)、などなど、シーフードに恵まれている。
英国流に室温で飲むビールと一緒に楽しみたい。
Surrey Hills ハイキング
ロンドンの南に位置するSurrey州は日帰りハイキングにおすすめだ。特に春夏の輝かしい太陽と共に、空気も澄み切ったエリアで歩くのはとても気持ち良い。
中でも、お気に入りはDorkingというエリアだ。この駅の近くにはワイナリーのDenbies Wine もあり、美しい葡萄畑が広がる。
Dorkingからそのまま西に進むと、National Trustのエリアに入る。チョークの台地の上に草原が広がり、ところどころお食事中の牛とすれ違う。轍が出来ているも、草はぼうぼうに生えていて、アザミやバラの系統の植物がチクチク刺さる。気づけば足首に沢山ひっつき虫がついている。
Dorking Westから次の駅のGomshallまで大体全部で11 km。たまに雉を見かけたり、珍しいトンボが飛んでいたり。気ままに歩いていく。
春と秋、それぞれ訪れたが、やはり春がおすすめだ。黄色や白の花が一面に広がっていて、人間も殆ど見かけず、車や飛行機の音さえしない。牛のモーォという声や、虫のブーンと飛ぶ音だけ。もし天国が実在すれば、こんなところだろうか。
長いハイキング道を超えて、Gomshall駅の看板を見るとふと現実に戻る。道すがら地元の方に教えて貰った駅前の昔ながらのTea Roomで、英国菓子のLemon Drizzle Cake(シロップが表面にかかったケーキ。見た目はパウンドケーキ。霧雨のことを指すDrizzleがイギリスらしい)を頬張って駅へ向かう。よく歩いたからか、酸っぱさが沁みる。
駅のホームにつくと、見えた文字は「次の電車はキャンセル」。Gomshall駅はDorkingから分岐した小さな駅なので、1時間に1本しかない。なのに更にキャンセルときた(イギリスではよくある、電車の遅延+キャンセル…)。結局タクシーでDorkingに戻った。何をしているんだか笑
Lockdownのロンドン 振り返り
世界有数の観光名所ロンドンで、例の"C"で2020年-2021年で観光客がいない静寂に包まれた時間を過ごしたことは、最初で最後の経験であろう(であってほしい!)。特に制限が厳しかった2020年の春-夏をこの機会に振り返ろうと思う。
あれよあれよと感染が広がり、在宅勤務をトライアルで開始したのが3月前半。私は自動車を持っていなかったので、同僚が食料品の入った段ボールひと箱をわざわざ車で自宅に届けてくれたけれど、感染を警戒して面と向かっての会話は1分と出来なかった(そのあと電話した)。そしてその翌日からロックダウンに入った。
一日一回の運動と最低限の買い物だけしかできない日々となった。街を歩いても、パブ、レストラン、カフェ、ありとあらゆるお店が閉まり、Takeawayのお店がかろうじて開けてくれている程度。とても静か。バスも殆ど人が乗っていない。心なしか空気も良く、例年以上に青空が多かった2020年春。
高級ブティックが並ぶ、Old Bond Streetも誰もいない。
2020年5月に漸くFortnum & Masonが食料品売り場だけ開店してくれた時は、本当に嬉しくて、お店の人に何度も御礼を言った。店員さんも「We are so excited to come back!」と言っていて、じーんとした。
5月26日に米国で起きたGeorge Floydの事件を発端に世界的に広がったBlack Lives Mattersの抗議デモ。ロンドンでも、米国大使館からWestminsterを中心にデモ行進が起きた。自宅にいても、"Black lives matters!"や"I can't breathe"、"No justice No peace"の叫び声は帯となってハッキリと聞こえ、人々の思いが空気を伝わって響いていた。
Black Lives Mattersの殴り書きがされたVictoriaの建物。数日後にはきれいに消されていた。
このころには、Cに対する活動制限に対する抗議活動も活発になり(マスクをしない権利等…)Westminster周辺は道路が封鎖されていた。
7月には屋外で限られた人数であれば集まることが出来た。Holland Parkでは屋外オペラが開かれ、こうした「生」を聴けることが本当にありがたいことだと痛感した。この頃友人とHyde Parkでピクニックしたが、久しぶりの対面で、人との距離感に戸惑ったことは今だから認められる。
寒空の下、ダウンコートにホッカイロを貼ってピクニックをしたのが懐かしい。
今は暖かいお店の中でクリスマスパーティを大人数で開けるほどの違いだ。ついつい有難みを忘れがちだが、人と直接会って話せることは素晴らしいことだ。
"C"の経験でわかったのは、Now or neverということ。ぐずぐず先延ばしすると、もうチャンスがないかもしない。一日一日、一つずつの経験を大事にするということ。体調管理をすること、無理・無茶をしないこと!他の方への配慮を忘れないこと!!2021年の反省と来年への抱負もかねて、ここに残しておく。